全国にはたくさんの郷土かるたがあります。歴史や自然、伝統や魅力を気軽に知ることができる郷土かるた。
実は狛江にもあるのはご存知でしょうか。
3年前に行われたカルタ大会をきっかけに狛江郷土カルタを知って遊ぶようになった我が家。近所の神社、いつも通っている道、遊んでいるあの場所、それらが読み句や絵札に登場し、知らない「狛江」をカルタから学んでます。カルタで遊ぶようになってから、家族の散歩やサイクリングが盛り上がるようになりました。
この素敵で魅力的なカルタをもっと知りたいと思い、当時カルタづくりに関わった狛江市教育委員会 教育部社会教育課 文化財担当 松下さんにお話を伺ってきました。
▲遊びすぎてくたびれている箱
そもそも、狛江郷土カルタって?
狛江には市民の皆さんによって作られた2つのかるたがありました。
1984年(昭和59年)作成「狛江郷土かるた」と1995年(平成7年)作成「狛江昔物語りのいろはかるた」です。
「狛江昔物語りのいろはかるた」誕生から20年経った2015年(平成27年)に狛江郷土カルタづくりがスタートしたそうです。
3か年計画の1年目、読み句づくりで奮闘
カルタづくりの知られざるエピソードが知りたくて、松下さんにお話を伺いました。
(松下さん)1年目は読み句、2年目は絵札、3年目はカルタの企画という段取りで作業を進めました。1年目に取り組んだ読み句づくりは特に苦労しました。まず「題材」をどうするか?をカルタ作りのために発足された集まった協力者の皆さんと話し合い決めました。
メンバー11名でスタートしたカルタ作り。1年目で早速難関が待ち受けていたんですね。
▲当時配布されたメンバー募集のチラシ(詳しくはこちら郷土カルタづくり参加者募集)
(松下さん)万葉歌碑や古墳の句は絶対欲しいなと思っていました。そんな思いもありながら市内の小中学生に読み句の募集をしましたが、「多摩川」「えだ豆」「いかだレース」を題材にした句が多かったんです(笑)。題材が偏ってしまって困りましたが、改めて狛江の特徴や魅力がよくわかりました!
確かにどれも身近で狛江に欠かせない存在なので、集中してしまうのも納得。それらに偏っていた題材の調整や「いろはにほへと」44文字分の句を作りだす為、作者に確認しながら句の再構成も行ったそう。
こうした作業を経て44句作りあげ、2年目に突入したそうです。
▲「多摩川」「えだ豆」「いかだレース」が題材になった読み句と絵札
狛江の魅力が描かれた絵手紙の絵札
2年目は絵札づくり。引き続きお話を伺いました。
(松下さん)読み札同様、一般公募する案もありましたが絵手紙で作ることになったので、「絵手紙発祥の地-狛江」実行委員会の皆さんに協力をいただき作業を進めました。
絵手紙特有の黒の輪郭線に、温かい色使いで描かれた絵札。わたし調べで8名の方によって描かれていて、よーく見比べると絵札に個性があり、そんな違いを見つけるのも楽しいです。
また絵札にも狛江の特徴が表れています。鳥居・寺院絵札が8枚、石碑絵札が9枚で、パッと見たところ灰色感が印象に残ります(笑)。さらに風景絵札が16枚。狛江の歴史や狛江が自然豊かな環境であることが絵札からも感じられます。この灰色感や風景絵札の多さがカルタの難易度を上げ、面白味を増している要因だと思います。それを松下さんへ伝えると
(松下さん)灰色感強いですねと言われたことがあるんですよ(笑)。
と教えてくださいました。わたしと同じような印象を持った方がいたんですね(笑)。
読み句と絵札がリンクするまでは難しく感じるかもしれません。でも、大丈夫です。自然と読み句や絵札を覚え、リンクするようになります。
遊ぶ毎に狛江マニア度を増していく感じがたまらないのです。
▲左:狛江には寺院や神社、石碑がたくさんあることがわかります。 右:風景絵札でも多摩川は欠かせない存在。
今後カルタに期待することは?
さて完成したカルタ。今後どの様に活用していきたいか?と伺ったところ
(松下さん)完成した当時、むいから民家園でのカルタ大会や狛江郷土カルタを使ったオリエンテーリングのイベントを行ったんです。
と、松下さん。そして驚きの事実を知りました。
▲当時小学校に配布されたチラシ(詳しくはこちらカルタ大会 オリエンテーリング)
(松下さん)全国の郷土かるた大会を参考にルールを作りました。
なんと狛江郷土カルタにオフィシャルルールがあったんです!
競技の進行方法やお手付きの処理、札に得点をつけて枚数を取れば勝ちとは限らないルール。しっかりと作り込まれたルールを知って、さらに驚きました。
このルールに基づいて学童でカルタを行ったところ、子どもたちがとても盛り上がり大会を開催するに至ったそうです。
当時、カルタ大会が他のイベントと重なって小規模開催となったらしいですが、せっかくオフィシャルルールまであるので、コロナ禍が落ち着いたら是非大会を開催してください!とお願いしてしまいました。
個人的には、学校対抗の狛江郷土カルタ大会なんてあったら面白いのになあ、なんて思っています。
▲オフィシャルルールがあることを知っている人は少ないはず(詳しくはこちらでカルタ大会ルール)
カルタで遊んでみたい!どうしたらよいですか?
さて、狛江郷土カルタの完成までを知り、遊びたくなったという方いませんか?狛江郷土カルタで遊びたいときはどうしたらいいか?松下さんに伺いました。
(松下さん)完成した2017年(平成29年)当時に各小中学校とその図書室・図書館・公民館・学童保育所等の公共施設に配布しました。
とのことでした。図書館に伺ったところ、中央図書館と上和泉地域センターで本を借りる時と同じ手続きでカルタを借りれますとのこと。
図書館から借りるものはみんなで使用するものです。丁寧に扱うようにしましょう。
また学童保育所でも遊ぶことができます。ただコロナ禍において学童保育所事に遊び道具の取扱に違いがある様です。遊べるか否かは事前に確認するといいかもしれません。
児童館と併設されている施設は、乳幼児もカルタに触れることができます。我が家の娘も3歳の頃から狛江郷土カルタで遊んでいます。ひらがなに興味を持ったお友達にも是非遊んでいただきたいです。
小中学生は担任の先生や図書室の先生に聞いてみるのもいいと思います。
もちろん、販売もされています!
お借りしたものだと紛失や破損が心配とか、せっかくだからいつでも遊べるようにしたい!と思った方。
購入することもできますのでご安心を。
市役所内にある教育委員会の社会教育課文化財担当窓口でいつでも購入することができます。
お値段は970円(2021年6月現在)です。
▲こちら参照ください。
新たなおもちゃ候補の一つとして、検討してみてはいかがでしょうか。
雨が多くなるこの時期に、自宅でゆっくり狛江郷土カルタで遊ぶのはおすすめです。
狛江市民は対象外なので余談になりますが、狛江郷土カルタはふるさと納税の返礼品にもなっています。
次回は遊び編
ここまで狛江郷土カルタについて色々お伝えしてきました。
カルタの背景を知ると、不思議と愛着を感じませんか?
その愛着を深めていただきたく
次回は狛江郷土カルタの「遊び」をテーマにレポートをしたいと思います。
yata