お子さんの食物アレルギーで、ひやっとしたことはありませんか?
ぴーれメンバーに聞いたところ
「息子が2歳くらいのとき、祖母宅でそばを食べ、初めてだったのもあるのか、太ももの内側にびっしりじんましんが出て焦りました」
「息子が卵の白身だけNGで、初めてあげた時、一時間くらい経ったらじんましんが出て、唇の色も悪くなり病院に駆け込みました。」
という体験を話してくれました。
食物アレルギーは、身近な問題です。
2012年12月の調布市で起きた学校給食の誤食による事故は記憶に新しいです。
2014年7月24日狛江市教育委員会学校教育課と東京慈恵会医科大学附属第三病院共催の『アレルギーアナフィラキシーへの対応講習会』に保護者も参加できるということで、行ってきました。
講師は東京慈恵会医科大学附属第三病院小児科診療部長 勝沼俊雄先生です。
この講習会には、教員、保育士、放課後事業に関わる方達や、保護者などが参加していました。
昨年も、この講習があったそうです。
狛江市にはアナフィラキシー対応ホットラインがあります
狛江市では、2013年8月にアナフィラキシー対応ホットラインの覚書を、東京慈恵会医科大学附属第三病院および調布市と締結しました。
この締結により、市内の小・中学校、幼稚園・保育園、児童発達支援施設などで食物アレルギー症状の発症があった際に、専用PHSで救急搬送の受け入れや医師にアレルギー症状の判断等の相談ができるようになりました。
施設では、アレルギーのある児童、生徒一人一人の対応について、「緊急時個別対応カード」に記入してもらい、緊急時に使用する薬を必要に応じて保管しています。
食物アレルギーとは?
食物アレルギーの頻度は
乳児期 6〜10%
↓8割が治る
3歳 2〜5%
↓9割が治る
6歳 1〜2%
小〜中学校では軽くない症例が残っています。
乳児期の頻度が高く、年齢が上がるにしたがって治る人もいるんですね。
原因食物
1 たまご 38.3%
2 ミルク 15.9%
3 小麦 8.0%
4 甲殻類(エビなど) 6.2%
5 フルーツ(キウイ、バナナ、マンゴーなど) 5.7%
6 そば 4.6%
7 魚 4.4%
8 ピーナッツ 2.8%
9 魚卵 2.5%
10 大豆 2.0%
その他
そばや、ピーナッツよりもフルーツが原因の場合が多いんですね。
学校給食で、キウイなどフルーツを食べて、初めて食物アレルギーの症状が出る児童もいるというお話もありました。
また、食物アレルギーの診断は、血液検査が絶対ではなく、実際に負荷(摂取)テストしないとわからないそうです。
負荷(摂取)テストは、対応がすぐ出来る病院で、blind(思い込みによるものではないか確認する方法)、open(実際に摂取する)の両方を行ないます。
アナフィラキシーとは?
多臓器性全身性の即時型アレルギー反応で及ぼす重篤な病態
全身性の重篤なアレルギー反応
焦らないとまずい状態のことです!
アナフィラキシーの症状は?
皮膚(赤くなる、じんましん、かゆみ)
目(赤くなる、涙が出る)
上気道(鼻水、息苦しさ)
下気道(セキ、ゼーゼー、息苦しさ)
消化器(吐く、腹痛)
循環(血圧低下、ショック)
神経(頭痛、意識レベルの低下)
例えば
卵を食べて、じんましんだけならば、皮膚症状だけが出た状態だが
さらに→消化器にも反応が出ると「吐く」
呼吸器ならば「息苦しい」
循環器ならば、「血圧低下」
と、いうように複数の臓器にアレルギー反応が出た場合は
アナフィラキシーです。
アナフィラキシーへの対応
1、人を呼ぶ
2、仰向けに寝かせる・足を挙げる
3、酸素吸入
4、モニター装着
5、エピネフリン(ボスミン0.01mg/kg筋注)
6、ルート確保・補液
抗ヒスタミン薬
ステロイド
気管支拡張薬
これらは、病院では可能ですが
保育園や学校などの現場では、できることが限られてきます。
病院以外で起きたアナフィラキシーの対応は?
1、人を呼ぶ
2、仰向けに寝かせる・足を挙げる
3、エピネフリン(ボスミン0.01mg/kg筋注)
人を呼ぶのは、1人で対応するのではなく、複数で対応することで素早く正しい対応をするためです。
症状を確認して、「緊急時個別対応カード」を見て、薬を与える人(エピペンを打つ場合、患部を固定する人、子どもの場合は身体を押さえる人など)
119番する人、保護者に連絡する人、など同時に行なう必要が出てきます。
血圧低下で倒れたりするのを防ぐため、仰向けに寝かせて足はクッションなどの上にあげます。
エピネフリンを緊急に打つことが出来るのがエピペン®です。
エピペン®の打ち方
1、青い栓を抜く
2、鷲づかみ
3、太ももの外側に当て、十分圧迫する(カチッ!と音がする)
4、5秒間押さえ続ける。
股関節のところと膝をしっかり押さえてください。
子どもの場合など、怖がって動いてしまうと危険なので、
エピペンを打つ場所(太ももの外側)の上と下のふたつの関節を固定することで安全に打つことが出来ます。
小学生では、いくら練習していても一人でエピペンを打つのは難しいそうです。
エピペンは、医師から個別に処方されるものです。
子どもの場合、 「注射はイヤ」「痛いのはイヤだ」 「もう良くなった」「トイレに行きたい」と言って拒否したり、暴れて嫌がる場合もあるそうです。
必要なタイミングで対処するためにも、まずは「人を呼ぶ」こと!
複数人で個別対応カードを使って対処することで、正しい判断ができるそうです。
練習用のエピペンを使って打つ練習!
講習会では、参加者同士でロールプレイングしました。
○正しい持ち方
これが「鷲づかみ」です。
服の上からでオッケー。
太ももの外側に カチッ!と音がするまで圧迫します。
すぐ離さないように「1、2、3」と数えるのも良いそうです。
×ダメな持ち方
どこが間違ってるかわかりますか?
上下が逆さま!
鷲づかみにしてない !
指をかけてはいけません。
これでは持っている人に針が刺さってしまいます。
今後の課題
昨年「児童や家族から食物アレルギーの申告は特になく、他の子と同じ給食を食べて
一時呼吸困難で搬送された小学一年生」の症例が町田市でありました。
新規発症が考えられます。
学校給食と食物アレルギー・アナフィラキシーの原因は?
1、果物
2、甲殻類
3、牛乳
58%が新規診断
ショック状態になった症例は7.2%
誤食が原因ではないんです!
アレルギーホットラインが、新規発症にも対応しています。
慌てていても、しっかりと連絡がとれるようにホットラインで伝える工夫がされています。
また、新規発症も想定した、新「個別対応カード」も出来ました。
これらの取り組みの最大の目的は『救える命を救う』ことです。
講習会に参加して
今回、講習会に参加して、食物アレルギーとアナフィラキシーについて学ぶことができました。
最初に、動画をみたのですが、発症の原因はさまざま。
「間違えて牛乳を飲んだ。」「隣の子のプリンを食べた。」「お弁当の時間に、ちょっとなら大丈夫かな、と思ってシューマイを友達からもらって食べた。」
という誤って口に入れてしまった例だけでなく、
牛乳アレルギーの児童が工作の時間に洗浄が不十分だった牛乳パックを触った、という事例もありました。
皮膚症状のじんましんだけでなく、セキがでたり、吐いたりという症状が多臓器に出ることも知りました。
給食でアナフィラキシーが発症するのは、誤食が原因かと思いきや、新規発症の多さには驚きました。
「それまで食物アレルギーになったことのない児童が、給食のキウイやマンゴーを食べて、アレルギーを新規発症することがある。」
と、想像できる保護者がどれくらいいるでしょうか。
おうちに遊びに来たお子さんにおやつを食べさせたときに、もしアナフィラキシー症状が出たら?
スマイルぴーれの読者の皆さんにも、ぜひ対処法を知っておいてほしいと思いました。
まずは「人を呼ぶ」。
おうちに大人が自分だけだったら?
全身性の即時型のアレルギー反応はアナフィラキシーです。
119番して救急車を呼ぶ判断も必要となってくるでしょう。
保育園、学校、放課後事業の施設の先生達が、講習会を受けて知識を得ており、
また、狛江市には アレルギーホットラインのシステムがあり、活用されていることは大変心強いと思いました。
(byたんちゃん。)