グラグラ、グラッ。
立っていられないような突然の大きな揺れが数秒間続き、家の中はひっくり返って、足の踏み場もない。
水道、電気、ガスのライフラインは止まってしまった。
幼い子どもを連れたあなたはどうしますか。
超大型で猛烈な台風が関東を直撃するかもしれない。
外は風雨が強まってきた。既に大雨特別警報、洪水警報が出されている地域も。
多摩川と野川は氾濫警戒水位に近づいている。
赤ちゃんを抱いたあなたはどうしますか。
考えたくもないシチュエーションですが、日本は地震大国ですし、地球温暖化による気候変動の影響で台風や豪雨による災害のリスクが高まっています。
冒頭のような状況に陥ったらどうするか。狛江市では災害時の避難所について計画を立てています。
また、冒頭のような状況にならないために、日頃から家具転倒対策を行う、気象情報によっては事前に避難するといった危険回避行動も、幼児を連れた方には特に重要です。
いざという時、慌てないために、安心安全課の前田さんと福祉政策課の長島さんにも話を伺い、災害時の避難と避難所についてまとめてみました。
まずハザードマップでリスクを確認
防災を担当する安心安全課では、震災時の災害時集合場所や指定避難所などを狛江市の地図に書き込んだ狛江市防災マップや、水害時のハザードマップ3種類と土砂災害ハザードマップを作成。
こうしたマップ類は狛江市のホームページ(狛江市防災マップ、ハザードマップ、防災マップアプリ)でも閲覧できるほか、狛江市防災ガイドに掲載されています。
狛江市防災ガイドは改訂時に全戸配布するほか、転入時に皆様にお渡ししているそうです。
なくしてしまった方は安心安全課窓口で入手することができます。
狛江市防災マップは震災時の「災害時集合場所・指定避難所」24カ所が記されています。
狛江市は南西に多摩川、北東は野川という二つの川に挟まれています。
2019年には台風19号の接近、通過で浸水などの被害が出たのは記憶に新しいところです。
狛江市が水害時のハザードマップ3種類と土砂災害ハザードマップを作成していることは先に述べました。
洪水ハザードマップの多摩川氾濫版と野川氾濫版、内水ハザードマップ、土砂災害ハザードマップです。
(写真は、洪水ハザードマップの多摩川氾濫版・野川氾濫版)
洪水ハザードマップはそれぞれ、多摩川と野川が氾濫したときの想定される浸水の深さを多摩川は4段階、野川は5段階に分けて、地図上に色分けしたものです。
それを見れば、それぞれの川が氾濫したとき、ご自分の住まいにどの程度、水が来るか、参考になるというものです。
ハザードマップには、指定避難所・指定緊急避難場所が表示されています。
説明してくださった安心安全課の前田さんは「まずハザードマップで、自分の家の危険度を知っておくことが大切です」と強調しました。
自宅避難、分散避難も
2019年の台風19号接近では、一時的に避難所に入り切れない市民の方がいて、近隣の避難所を案内したこともあったそうです。
避難者が避難所に集中するのを避ける意味もあって、安心安全課では在宅、分散避難を呼び掛けています。
安心安全課が発行する「安心安全通信16」(2021年11月)には「在宅・分散避難のすすめ」として、以下の記事があります。
『「避難=学校などの避難所へ行く」だけではありません』と題して、在宅避難は「 災害時に自宅が安全な場合、自宅にとどまる避難の方法」、分散避難は「 安全な地域に住んでいる、または、被害がなかった親戚や友人宅、ホテルなどの宿泊施設に避難する方法」と説明しています。
そして、在宅避難、分散避難のメリットとして
「不特定多数の人が集まる指定避難所よりも、感染症のリスクが低い」
「在宅避難ができる場合はプライバシーが制限されず、住み慣れた家で避難生活ができる。」
「親戚や友人宅に避難する場合は、気心の知れた人と生活ができ、安心できる」 の3点を挙げています。
その上で「危険が迫っていて、在宅避難や分散避難ができない場合は、迷わず狛江市が開設する避難所へ避難してください」と呼び掛けています。
震災時と水害時の避難の違い
ここまで主に水害時の避難について見てきましたが、震災でも避難所は開設されます。
震災時と水害時の避難所の違いについて、「安心安全通信16」でコンパクトに説明した記事がありました。
以下は「安心安全通信16」からの引用です。
震災時の避難
まずは身の安全を確保し、自宅や周辺に火災などの危険がある場合は、災害時集合場所へ避難します。
その後、自宅を確認し、生活が難しい方は避難所で生活します。
避難所は、避難所運営協議会の方や市職員が建物の安全確認後、避難所開設準備を行います。
すぐに開設されるわけではありません。
原則として、検温・問診は屋外で実施し、体育館などを避難スペースとして使用します。
水害時の避難
避難情報の発令などにあわせて開設する避難所・緊急避難場所は、台風などの大雨や強風が過ぎるまで身を守ることが目的です。
検温・問診は体育館などで実施し、学校校舎や施設の部屋を避難スペースとして使用します。
上記の引用で分かるように、避難先には大雑把に分けて、震災直後の火災や河川の氾濫から身を守るための災害時集合場所・緊急避難場所と、自宅が被災した際に避難生活をするための避難所という二通りがあります。
狛江市の避難所開設マニュアルは震災版と水害版があるそうです。
震災と水害では避難所開設の主体と開設のタイミングが異なっています。
震災の場合、地域住民が中心となっている避難所運営協議会が、避難所が必要になった時、その開設・ 運営・閉鎖に当たる(避難所運営基本マニュアル)とされています。
避難所の開設については狛江市災害対策本部が決定します。
台風などによる風水害の場合は、狛江市が警戒レベルとともに避難情報を発令します。
安心安全課の前田さんによると、警戒レベル3の「高齢者等避難」で避難所が開設されるそうです。
狛江市ではヤフーとの災害協定に基づき、ヤフーのマップサービスに避難所の位置を掲載しています。
zaki