実際の利用経験談をご紹介
市内には相談窓口が複数ありますが、実際に利用した方が他の方にそのことを言う機会は少ないかもしれません。また、利用したいと思っていても、『こんな内容を相談していいのかな?』と、ためらう方もいらっしゃるかもしれません。
前回の記事では子育て世代に身近な相談窓口として《たんぽぽひろばの相談》をご紹介をしました。
→【市内にある相談窓口】誰に相談したらいいのっ!?と思ったら《たんぽぽひろばの相談》へ
今回はぴーれメンバーの経験談を紹介することで、利用イメージが少しでも伝わればと思います。
なお、メンバーが利用した時と現在では相談窓口の役割が変わっている部分もありますので、参考程度にお読みください。
CASE.1 自分とわが子の関係改善のために《自分から連絡 》
Aさんの場合
下の子が産まれて3ヶ月程経った頃、上の子(男児当時3歳9ヶ月)との関係に悩んで利用しました。
悩みを具体的に書くと
上の子が下の子を叩く、噛む、引っ張る
→下の子が泣く
→私「やめなさい」と怒る
→やめずに続ける
→私、激怒という悪いスパイラルに陥る
というもので、今となっては「そんなこと〜」と思えることで怒り、上の子が嫌いとまで思っていました。
毎日毎日イライラしてたので、このままでは上の子の成長への影響が心配になり、「どうにか変わらなくては」と思っていたところ、ママ友が『子どものことで悩んで支援センターに相談に行った』と言っていたのを思い出し、思い切って電話しました。
勇気を出して良かった
サポートを振り返って
最初は電話での相談でしたが、面談になり、気持ちが落ち着いてきたら電話に戻り、定期的に相談を継続したのち、今はサポートを終了しています。
夫にも電話してもらい、私の気持ちを伝えてもらいました。夫がどう思っているのかをフィードバックしてもらったりと、夫婦の間に入ってくれたことにより、夫の気持ちを素直に聞くことができたと思います。
「お電話してくれてありがとう」という言葉にホッとした
だいたい1年半に渡りサポートをして頂きました。最初の電話は本当に緊張しました。ダメな母親を自ら名乗り出るような恥ずかしさを感じていましたが、「お電話してくれてありがとう」と言われた時は『これで少しは上の子との関係が良い方に変われるかも』とホッとしたのを覚えています。
夫でもなくママ友でもない方に相談することができ、私の場合はとても心が軽くなりました。悩みを誰かに相談するのってとても勇気がいることだと思いますが、あの時電話をしていなかったらまだ一人で悩み続けていたかと思うと、勇気を出して良かったと思います。
⚫︎Aさんが定期的に相談を継続した理由は、上の子を嫌いとはもう思っていないけれど、当時の気持ちを忘れず繰り返さないためにお願いした、とのことでした。
⚫︎パートナーへの電話については、支援センターの方から『連絡しても良いかな?』と聞かれ、お願いしたそうで、連絡しないでほしい場合は、拒否することも可能だったそうです。
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CASE.2 ママ友とそのお子さんのために《身近な人のために連絡》
Bさんの場合
ひとり親家庭のママ友がメンタルの調子を崩してしまい、連絡がとれなくなってしまいました。
それまでにも、ご本人がメンタル不調のタイミングの時に、子どもが高熱を出した際、40度を超えているのに病院に連れて行けなかったり、子どもに食事を与えてあげられなかったりしたことがあったことを耳にし、お子さんの心身の安全が不安だったため、家庭訪問や電話等フォローをしていただけないか相談し、ご対応いただきました。
相談窓口に連絡した理由は、第三者の立場からサポートしてもらうことが大事と考えたからです。そのため匿名でヘルプをお願いしました。
後から判明したのですが、私以外からも2人同じようにお願いしていたみたいです。
いつも親身になって話を聞いてくれる相談場所として活用したい
後日談をうかがいました。
ーーーー相談の連絡をしたことでママ友さんに変化はありましたか?
第三者の立場で話を聞いてもらえることで気持ちが楽になったようでした。その後も時々たんぽぽひろばを利用しているのをお見かけします。
ーーーー連絡をした時の相談員さんの言葉や対応で心に残っていることはありますか?
「情報提供ありがとう、秘密は守るし、こちらの立場でできることをやってみます!」と言ってくださいました。
ーーーー必要になったらご自身も利用したいと思いますか?
どうしても困った時、というよりは、いつも親身になって話を聞いてくれる相談場所として活用できたらと思います。
ーーーー相談してみてよかったですか?
はい、よかったです!
直接の相談だけでなく、周りから何か違和感があった時に相談もできる、というのは、知っておいて損はないかなと思います!
●Bさんとは別にママ友さんのことを相談していた方は、『調子を崩したママ友のメンタルに振り回されて自分がメンタルを崩しそうになってしまって手に負えないので、助けてもらおう』と自分自身の相談事として連絡をしていたそうです。もしかしたら Bさんとは少し違う角度で相談していたのかもしれないですが、結果的に自分自身の相談事から他の方を救うケースもあると感じました。
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⚫︎CASE.3 園が保護者を助けるために《園や学校等の機関が連絡》
Cさんの場合
コロナ禍のことです。
体の弱い保育園児(第2子)を抱えていた私は仕事復帰とわが子2人の新生活が重なり、心身ともに疲労していましたが、そのことに気づいていませんでした。
その頃、第2子にとっては新型コロナウィルスよりも脅威であると医師から言われていたRSウィルスが保育園で流行していましたが、会社に迷惑をかけたくないと思い、予防のために保育園を休ませることができず、その結果RSウィルスを発症し、喘息発作を併発して入院。自分の判断ミスだと深く落ち込みました。
1週間の入院後、しばらく自宅保育となり、会社を休む罪悪感となかなか治らない子どもの鼻水の症状に苛立ちを感じていました。当時は鼻水が出ているだけでも登園を断られることがあったので登園を自粛していました。
徐々に第2子の体力が回復する中で、私に対して噛む、引っ掻く、叩くなどの攻撃的な行動や、自分の頭を壁に打ち付けるなどの自傷行為が目立つようになりました。言葉の発達が遅れている第2子なりの、言葉で表現できない不満のサインだと、すべて受け止めようとしていました。
しばらくはその状況に耐えることができたのですが、些細なことをきっかけに私は限界に達し、感情のコントロールを失いそうになりました。その日は物理的な距離をとるために、すぐに近所に住む祖父母に預けました。
翌日、第2子を守るために保育園に登園させようと決めましたが、園に着くやいなや、またもや攻撃的な行動で行き渋りをされてしまい、それまで必死にこらえていた感情が溢れ出し、私は園の廊下で泣き崩れてしまいました。
ただならぬ状況を察知した保育園の職員の方が、すぐに第2子をクラスに送り届け、私は職員室で園長や看護師の先生に一通り話を聞いてもらい、落ち着いたところで帰宅しました。
夕方になりお迎えに行くと「もっと力になれるところにつなげた」と園長から言われかなりショックを受けました。
『通報されたんだ…』
親としてちゃんとできていないと言われてるような気持ちになってしまったのです。
不本意という気持ちから一変
サポートを振り返って
翌日、相談窓口の方から電話が来ました。渋々電話には出ましたが、私の態度は相当悪かったと思います。
そんなトゲトゲしい私に対しても、とても優しく対応してくださり、色々な話をしていくうちに『ママの負担がとても大きく感じる。パパと子育てを分担してみては?』と第三者ならではのアドバイスをしてくれたり、自己肯定感が下がっていた私に『ママはとっても頑張ってるよ』と励まし、認めてくれました。そして、私の話を真摯に受け止めて泣いてくださることもありました。
定期的に電話連絡や面談があり、夫や第1子も個別で面談に行きました。
普段、自分たちだけで面と向かって話せないようなことを聞いてくださり、後日そのフィードバックをもらったことで、夫や子どもへの理解が深まりました。おかげで夫婦関係も良好になったと感じています。
家族でもママ友でもない存在だからこそ
サポートはだいたい1年くらいだったと思います。現在は特に利用していませんが、あの時相談員の方に支えてもらっていなければ今の私はないと思うくらい、とても重要なサポートだったと感じています。
家族でもママ友でもない存在だったからこそ、何でも話をすることができましたし、全く違う視点からのアドバイスにハッとさせられることも多く、視野や選択肢が広がりました。
●はじめは通報されたことにショックを受けたCさんでしたが、サポートを受けたことでご自身では気づけなかった問題の本質に気づいたり、パートナーシップの改善ができたそうです。
●メンタルが回復するとともに、徐々に感謝の気持ちに変わったそうです。
さいごに
ぴーれメンバー3人の利用経験談は参考になりましたでしょうか。
相談窓口を利用するメリットはたくさんありますが、その中でも
・専門知識をもとに客観的な視点で分析ができる
・問題の根本原因を特定する
・新しい視点と気づき
・厳格な守秘義務
という点が、安心して話せる環境につながっているのではないかと思います。
誰でも最初はサポートを受けることに抵抗感があるかもしれませんが、第三者に話してみることで悩みが整理されたり、心がラクになったり、良い方向に進むことが多いと感じました。
最後までお読みいただきありがとうございまいた。
編集委員 なっつ